キングダムの中で信と蒙恬とともに“次代の三人”として成長してきた王賁。
冷徹な判断力と緻密な戦術で活躍し、ファンの間でも根強い人気を誇っています。
ただ、読んでいて気になるのは「王賁は史実でどういう最期を迎えるのか」という点ではないでしょうか。
漫画の中ではまだ描かれていませんが、史実をひもとくと王賁の人生や死に方についていくつかの手がかりがあります。
今回は史実の背景を丁寧に追いながら、王賁の最期を考察してみます。
「キングダム 」王賁とは?
〖キングダム頂点〗
ガチャで王賁キタァァァ!!!
かっこよょょょ~✨#キングダム頂点 pic.twitter.com/vUAUGZ6FRI— shirakami (@shirakami420764) October 3, 2024
漫画「キングダム」に登場する王賁は、秦国の将軍・王翦の嫡男として描かれています。
冷静で頭脳明晰、そしてプライドの高い人物として初登場したときから印象的でした。
王賁は武勇よりも戦術や指揮能力に優れたタイプで、同世代の信や蒙恬と比べると感情を抑えた硬質なキャラクターです。
信が圧倒的な突破力、蒙恬が柔軟な人心掌握力で魅せるのに対し、王賁は緻密な作戦と堅実な用兵で戦果を積み重ねていきます。
王翦の息子としての葛藤
父・王翦は秦の軍略を支える名将ですが、王翦自身は息子に厳しく接し、なかなか認めようとしません。
そのため王賁は「父を超える」「実力を証明する」という強い執念を持ち、どんな戦場でも結果を出すことにこだわります。
この親子関係が物語に厚みを与えており、王賁の一挙手一投足に重みが増しているのが特徴です。
信・蒙恬とのライバル関係
信と蒙恬とは同世代の武将であり、互いに意識し合いながら成長していく姿が描かれています。
三人とも目指すのは「大将軍の座」であり、その切磋琢磨が作品の大きなテーマの一つになっています。
信が豪快な突撃で敵を討ち破るのに対し、王賁はあくまで冷徹に戦局を読み、部隊を駒のように操るスタイル。
その対比が戦いの中で鮮やかに描かれていて、読んでいてワクワクさせられます。
王賁の人間味
最初は冷たい印象の強い王賁ですが、次第に仲間や部下との関わりを通して人間味が表れてきます。
特に家臣である番陽や関常との信頼関係、彩華との家庭の描写などが重なり、「ただの冷徹な軍略家ではない」という魅力が加わっていきます。
私も最初は「プライドが高くて扱いづらいキャラ」という印象でしたが、読み進めるうちに王賁が誰よりも必死に戦果を求め、家や父の影に苦しみながらも進んでいく姿に共感するようになりました。
王賁の初登場から現在までの活躍
王賁は王翦の嫡子として初登場します。
信と同じく若き将校であり、同時期に「千人将」として戦場に立つ存在です。
プライドが高く冷静沈着な性格で、最初からエリート意識が強く、平民出身の信に対してライバル心を見せる姿が印象的でした。
彼の登場によって、信の成長に緊張感が生まれ、物語のライバル構図が鮮明になったと言えます。
合従軍編での戦い
合従軍編では、蒙恬・信とともに若手将校の代表として戦場を駆け抜けます。
特に魏や楚との戦いで、部隊を的確に指揮し、冷静な采配を見せました。
王賁は戦術眼に優れたタイプで、戦場での立ち回りは父・王翦を彷彿とさせる鋭さがあります。
千人将から三千人将へ
信と同様に戦果を重ね、三千人将へと昇進します。
このころから王翦軍の中で重要な役割を担うようになり、ただのエリート意識の強い青年ではなく、将軍としての自覚や部下への責任感が見えるようになっていきました。
信との口論や衝突も減り、お互いを認め合う雰囲気が少しずつ芽生えていきます。
著雍(ちょよう)の戦い
著雍の戦いでは信とともに秦の未来を背負う若手武将として戦功を挙げます。
ここで王賁の練度の高い槍術や戦術力が改めて描かれ、信と並ぶ次世代の大黒柱としての地位を固めました。
鄴攻めでの活躍
鄴攻めでは王翦軍の一翼として参戦。趙の李牧率いる大軍との消耗戦の中で、信や蒙恬と連携しながら重要な局面を切り開きます。
この戦いでは、父・王翦の戦略と、自らの戦術眼を重ね合わせて戦場に貢献し、秦軍の勝利に大きく寄与しました。
武神龐煖との対峙
龐煖との戦いでは、信とともに立ち向かい、死闘の末に龐煖を討ち取る場面に深く関わります。
王賁は致命傷を負いながらも最後まで戦い抜き、その姿は信だけでなく読者にも強烈な印象を残しました。
この場面を通して、彼が単なるライバルではなく、命を賭して国の未来を背負う存在であることが強調されました。
現在の立ち位置
現在の王賁は、父・王翦の軍の中核を担いながら、信・蒙恬と並んで「若き三大将」として秦の未来を担う立場にあります。
プライドの高さは変わらないものの、仲間への信頼や、戦場での責任感が強くなり、初登場時の尖った印象から大きく成長した姿を見せています。
「キングダム 」王賁の史実
漫画のイメージだけでなく、実際の歴史書にも王賁の名はしっかりと刻まれています。
父の王翦と並び、秦の天下統一に欠かせない存在だったのです。
王翦の息子としての出自
王賁は名将・王翦の息子として生まれました。
王翦といえば冷静沈着で、戦場では勝てる戦しかしないと評された人物です。
そんな父の影響を受けたのか、王賁もまた用兵に優れ、ただ武勇にすぐれた将ではなく、戦略面で才能を発揮しました。
秦の軍制は血統や家柄も重視されていましたが、実力を示せなければ出世は難しい世界です。
王賁は父の威光だけでなく、自身の戦果によって大将軍へと上り詰めたと言えるでしょう。
楚との決戦
史実で最も有名な王賁の戦いは、紀元前223年の楚討伐です。
秦が中華統一を進める中で、趙・魏・燕などの国は次々と滅んでいきました。
しかし楚は広大な国土と豊かな兵力を持ち、秦にとって最大の難敵でした。
秦王政(のちの始皇帝)はこの戦いに総力を挙げ、王翦と王賁に大軍を与えます。
王翦は数十万の兵を率いて正面から楚に当たり、王賁は別働隊として戦略的に動きました。
結果として、楚の首都・寿春を落とし、楚王負芻を捕らえる大功を挙げたのです。
楚は秦統一事業の最後の大きな障害だったため、この戦勝は秦の歴史において決定的な転機となりました。
つまり「楚滅亡=王賁の功績」といっても過言ではないほど重要な戦いだったのです。
私自身、楚滅亡の記述を史書で読んだときに「漫画の王賁があの冷徹な戦略を駆使して楚を滅ぼした姿」と重なり、歴史とフィクションがつながる面白さを感じました。
大将軍への昇進
楚を滅ぼした功績によって、王賁は正式に大将軍へと昇格しました。
これは父王翦と並ぶ地位であり、秦国における最高の軍事的栄誉です。
史実の中でも王賁は「大将軍王賁」と呼ばれ、父とともに秦の統一を実現した二枚看板となりました。
この“親子で大将軍”という構図は非常に珍しく、当時の秦がいかに王氏を重用していたかが分かります。
「キングダム 」王賁の死亡はいつ?史実の記録
ここからが最も気になる部分ですが、実は王賁の死についての明確な記録は史書には残っていません。
戦場で戦死したという記録もなく、没年も不明です。
ただし、王賁の子である王離がその後も活躍した記録は残っています。
王離は秦末から漢の時代にかけて戦いに参加しており、劉邦や項羽といった歴史の大人物と同時代を生きました。
王離が成人し将軍として活動していたことから、王賁は少なくとも秦統一前後までは存命だったと推測できます。
戦死ではなく自然死か
史書には「王賁が戦で命を落とした」という記述はありません。
そのため多くの研究者は、王賁は戦場ではなく病死や自然死で亡くなったのではないかと考えています。
当時の寿命を考慮すると40代から50代で亡くなった可能性が高いでしょう。
これは漫画的に見るとやや地味な最期ですが、歴史の事実として「功績を挙げた名将が静かに去る」という結末には逆に重みがあります。
私自身は、この「歴史の空白」に強いロマンを感じます。
あれだけ大きな戦果を挙げた将軍が、最後は人知れず消えていく。
派手な戦死ではないけれど、だからこそ王賁という人物の奥深さが際立つのではないかと思います。
子孫・王離の存在
王賁の死が曖昧な一方で、その子孫については比較的記録が残っています。
特に有名なのが王離で、秦滅亡の混乱期に登場し、項羽の軍と戦った武将です。
史実の中では王離は捕らえられて処刑されたとも伝えられますが、別の系譜では漢の時代にも王氏が残っていたとされ、どこまで続いたのかは定かではありません。
ただ、王賁の血統が確かに後世まで続いたことは分かります。
この「血筋の継承」もまた、キングダムにおける王賁の物語とリンクして見えてきます。
キングダムで王賁の最期はどう描かれるのか
史実を踏まえると、漫画キングダムで王賁の最期がどう描かれるのかは非常に興味深いポイントです。
まず考えられるのは、楚滅亡までを描いて「大将軍としての地位を確立した王賁」で物語が区切られるケースです。
楚滅亡は歴史的にも大きな節目なので、ここで王賁の役割を一区切りとするのは自然な流れでしょう。
もう一つの可能性は、息子の王離が登場してバトンをつなぐ描写です。
戦場の死ではなく「家系の継承」として王賁の存在を締めくくる形は、キングダムのテーマ性に合っているように思います。
個人的に見てみたいのは、父・王翦との関係がどのように決着するのかです。
王翦と王賁の関係は漫画における重要なドラマであり、最後に親子としての絆が描かれる瞬間があれば、読者にとって忘れられないシーンになるでしょう。
また、彩華や家族の存在がどのように描かれるのかも気になります。
もし最期に家庭の場面が描かれるとしたら、それは戦場での冷徹な王賁とは対照的で、より人間らしい魅力が浮かび上がるはずです。
まとめ
王賁は史実において楚を滅ぼし、秦の統一に決定的な役割を果たした大将軍でした。父王翦とともに秦の軍事を支え、その功績は後世に語り継がれています。
しかしその死については記録がほとんどなく、没年も不明のままです。
ただし子の王離が歴史に登場することから、王賁が家族を持ち血統を残したことは確かです。
キングダムの物語で王賁の最期がどう描かれるのかは、史実の空白を埋める大きな見せ場になるでしょう。
史実を知った上で漫画を読むと、王賁のセリフや行動の一つひとつに新しい意味が見えてきます。
王賁というキャラクターをこれからも注目して追いかけたいと思います。
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